「忄」・・・こころ 「生」・・・生きる 『生・性教育』

【目次】

1.出前授業へいくきっかけ

2.生・性教育への思い

1.出前授業へいくきっかけ

私は、10年ほど前から、小・中・高校生の皆さんに、「いのち」「思春期のこころと体の変化・過ごし方」

「性教育」「ライフデザイン」といった内容の授業を

〜より良く生きるためのこころと体の授業〜としてお届けしています。

きっかけは、下伊那郡高森町の子育て支援センターに勤務することになり、

勤務地の役場に隣接する高森町中学校の養護教諭の先生から、

「せっかく町の職員に助産師さんが入ったなら、ぜひ性教育をお願いしたい。」とご相談をいただいたことでした。

しかし、私自身、性教育未経験者。

まして、自分にとって臨床経験の中で、多くの中絶手術に立ち会ってきた経験や女性の悲しみの性の出来事をうまく受け止め切れなかった過去の苦い記憶が思い出され、胸がチクチク痛みもし、ご依頼を受けられるか迷いました。

そのままの気持ちを、養護教諭の先生に打ち明け、「それはつらい経験をされたのですね。」と当時の複雑な思いを聴いてもらいました。

何年も時間は経っていましたが、臨床勤務時代は、苦しくて自分の気持ちを表出できませんでした。

しかし、あの時の思いはしっかり自分の中に残っていて、何年かしたからこそ、やっと口に出せたように思えます。

養護教諭の先生に気持ちを受け止めてもらって楽になったことをよく覚えています。

産婦人科は、新しい命の誕生を喜ぶことも含めて、すべての年代の女性の健康や、人生に関わる現場です。

人知れず、悩んで駆け込んでくる方にもお会いします。

子育て支援センターも、お子さんの育ちを見守りつつ、女性の人生に関わる現場でした。

はじめは、子育ての悩み相談から入りますが、お母さんになった方自身も、もと子どもで、親がいて、生い立ちがあって、自分の子育てに、ふと自分の親と自分との関係が出てきたり、旦那さんの生い立ちも絡んできたり。

多くの気づきや学びをいただきました。

2.生・性教育への思い

養護教諭の先生の応援をいただき、手探りで性教育の出前授業を始めました。

思春期のお子さん達に「今日は、性教育のお話に来ました。よろしくお願いします!」と挨拶したとたん、

「エ~~!イヤだな。」「うわぁ・・・( 一一)」「ゲっ!!」・・・明らかに聞きたくないな・・・

なんて反応をいただくこともあります(笑)

そんなときは、「中学生だった自分がこの場にいたら、「性」なんて言葉をどう受け止めていいのかわからないし、恥ずかしいし、同じようなこと思ったと想像します。」と伝え、性教育を行う意図をお伝えします。

今の大人が大人になるときに、性教育をしっかり受ける機会が少なかったです。

大人になるまでに、また大人になってから悩んでいる体のこと、家族や、恋人や夫婦、友達などの人間関係のこと、赤ちゃんを産みたいと思ったものの、なかなか授からず悩むことがあることは大人になって初めて知った人もいます。

「結婚するかしないか、出産をするかしないか」は自分で決めていいものです。まわりが決めてはいけません。

学生の今は「勉強のこと」「部活のこと」「恋愛のこと」「友達のこと」目の前のことに精一杯で、

将来のことまで考えられないということもあります。

それでも

「知っていて選ばなかった」ことと

「知らずに選べなかった」ことの差は、とても大きいです。

聞けそうなところだけ、話を聞いてみてください。

「こうしなきゃいけない」と決めつける話はしません。

私は、多くの学生さん達の気持ちを聴いてきました。


「自分は生きていていいのか」

「うまれてきてよかったのか」

「自分のことを嫌い、ダメな人間だと思う」

「親や友達との人間関係に悩んでいる」

「居場所がない」など、

いろいろな思いをもっているお子さん達がいます。

皆さんは、どうですか?

性教育の「性」の漢字を見てみましょう。

「忄」・・・こころ 「生」・・・生きる  

と書きます。

私たちは“誰かに愛されたくて、また愛したくて、この世にうまれます”

親も完璧ではなくて、皆さんがうまれる時は、

“ただ、無事にうまれてくれれば、それだけでいい”と思っていたことを、いつ間にか忘れてしまって、

時に皆さんを傷つけてしまうことがあること。

“お互いさま、おかげさま”を大事にして、“ありがとう”と“ごめんなさい”を、大人もお子さんも、

みんなで言い合えたらいいという願いを伝え、自己肯定感の大切さにもふれます。

「自分も相手も大切にする生き方」

「自分の健康を守ること」「人と比べない自分にとっての幸せを考えること」を

『生』と『性』の授業で一緒に考えていきましょう。

限られた時間の中でのお話なので、詳細までは伝えられなくても、
「うまれてきてくれて、ありがとう」

「生きてるだけで100点満点」

「人と比べなくてもいい」

「あなたは、あなたで大丈夫」

「もし、困った時は、いつでも、どんなことでも、まわりにSOSを出してもいい」

という声かけをすると、表情が和らぐお子さんが多いです。

大人が思う以上に、お子さんは、自分の存在そのものを認めてくれる声かけを求めているように実感します。

最近は、性教育に関するネット情報、書籍も多く出るようになりました。

お子さんは一人一人違いますし、生き方を考えるのが生・性教育なので

「これが絶対的な答え」という正解はないと考えます。

お子さんの成長や、その時の状況によって、その都度一緒に考えていけたらと思います。

人生いろいろありますが、

大人も、お子さんも、悩んで、迷って、困ったら

戻るとこは、ここでしょうか。

生徒さんや親御さん、学校の先生方からいただく感想文に出てくる

✨人気ナンバーワン✨の言葉です💛

これからも、共に喜び、助け合って、生きていきましょう(^○^)

今まで、生徒さんからは多くの感想や質問をいただいてきました。

お子さんたちの気づきや意見は、とても勉強になります。

お子さんが悩むことは、大人も同じように悩むことでもあります。

次回は、お子さんからの質問回答・お子さんへのメッセージを書いていきます。

関連記事

  1. 『生・性教育出前授業』 生徒さんへの質問回答&メッセージ(1)
  2. 自己肯定感の大切さ【大人編】
  3. 女性ホルモンによる2大不調
  4. 長男・長女症候群
  5. ことばの力
  6. 女性とストレスの関係 【後編】
  7. 「がんばれ!」よりも「よく、がんばったね。」と思えたら楽になりま…
  8.  “秋バテ”してませんか?
PAGE TOP