自己肯定感の大切さ【思春期編】

【目次】

1.自己肯定感の大切さに気づいたきっかけ

2.自己肯定感とは

3.こころ(安心感)の育ち方

4.自己肯定感の育て方~大人からお子さんにできること~

1.自己肯定感の大切さに気づいたきっかけ

私は、ここ10年ほど、小・中・高校生の皆さんに、「いのち」「思春期のこころと体の変化・過ごし方」

「性教育」「ライフデザイン」といった内容の授業を〜より良く生きるためのこころと体の授業〜として

お届けしています。

授業で、こんな感じの質問を生徒さんに投げかけます。

「皆さんは、自分はうまれてきてよかったと思いますか?」

「自分のことが好きですか?


「自分は大切な存在だと思いますか?」

そうすると、にこっと笑顔でうなずく生徒さん。

首を横に振る生徒さん。うつむく生徒さん。

なかには、にらむような強い視線を向ける生徒さん。と様々な様子が見られます。

授業後の感想文には、今まで経験したこと、親や友人関連の悩み、自分自身をどう思っているのかなど、

素直な気持ちや、質問が書かれています。

用紙いっぱいに思いを打ち明けてくれる生徒さんもいます。

質問は、体に関すること、人間関係の悩み、不安、自分へのダメ出し、落ち込んだ時の対処法を知りたいなど、

これも様々です。できるペースでお返事させていただきます。

毎回、生徒さんに教わることばかりです。

授業をしっかり聴いて、自分のことを考えてくれてありがとう!と嬉しい気持ちになります(*^-^*)

もともと性教育=「性感染症・予期せぬ妊娠を防ぐ教育」という考えに疑問がありました。

「自分は生きていていいのか」

「自分のことを嫌い、ダメな人間だと思う」

「親や友達との人間関係に悩んでいる」

「居場所がない」など、

いろいろな思いをもっているお子さん達に会うことも珍しくない中、未来の話や、

自分と違う相手と分かり合おうと言っても、こころに響かないように感じました。

勉強、部活、友人関係、恋愛への興味、コンプレックスの自覚など

目の前のことにいっぱいいっぱいな生徒さんに、病気は怖いもの、性への興味・関心をもつことは

いけないことだけを一方的に押しつけようとしても、こころを閉じてしまいます。

今  ここ  に寄り添わないと、未来の話はできないと気づきました。

自己肯定感については、大人の相談を受けるときにも、大切さをよく感じます。

もう十分がんばっていても、誰かに認められても、常に自分にダメ出ししている方。

人間は、誰もが不完全で、できることもあれば、できないこともあり、お互いに支え合って生きていけばいいと

頭ではわかりつつ、自分のことが嫌い、身近な人にも絶対に本音は明かしたくない方。

生きづらいと感じている方。そこにも、もう少しだけ自己肯定感に関する安心できる話が届くといいと願います。

2.自己肯定感とは

無条件で 自分には価値があると信じている感覚(絶対評価)のことです。

どんな姿形であっても 何かができてもできなくても

何かをもっていても、もっていなくても  自分は大切な存在と思えることです。

自己肯定感があれば、1つのことで失敗してもそれだけで自分の存在価値がなくなったとは思いません。

自分のこともまわりの人のことも愛し、信じ、人生の苦難があっても、

乗り越えて生きていく底力をもつことにつながります🍀

??これは、自己肯定感??

「やせて自己肯定感を高めましょう。」

「お金もちになって自己肯定感を高めましょう。」

「自分だけがよければいい。まわりはどうだっていい。」  どう思いますか?

〇自己肯定感があることで、伸びていくもの〇

■自己効力感:何かにチャレンジするとき、「自分ならうまくできる」と信じられる気持ちのこと。

自分の実力や可能性への自信です。自分の能力が役に立っていると思えること。
■自信:条件付きで自分には価値があると信じている感覚(相対評価)■

 「いい成績」「いい学歴」「いい仕事」「スタイルがいい」「恋人がいる」 など

3.こころ(安心感)の育ち方

うまれたての赤ちゃんは言葉が話せないので「おなかがすいた・オムツを替えてほしい・抱っこしてほしい」という欲求を泣いて全身で訴えます。泣いた赤ちゃんを大人は抱っこして優しく声をかけお世話すると、安心して赤ちゃんは落ち着きます。

こころは、どんな自分も受け入れてもらえるという安心感を得ることで育ちます。

思春期は、言葉は話せるようになっても、言いたいことをうまく言えなかったり、勉強のこと、部活のこと、

友達関係も変わってきて多くの気遣いをするので、家ではホッとしたい、赤ちゃんのような甘え方は

できないけれど、身近な誰か(親・祖父母・先生・友達)に優しく声をかけてもらいたい、怒るばかりでなく

静かに見守ってほしいという甘え方で安心感を得たい時です。

親や大人から「縦の関係の安心」を得られると、もしくは、わかってほしいのに身近な大人に自分を理解してもらえないと感じると「横の関係の安心」:友人・恋人・趣味の合う仲間などがほしくなります。

自分の話を真剣に聴いてくれて、優しい言葉をかけてくれる誰かのおかげで、自分の安心感が満たされ、

がんばれる勇気が持てます。自分の身のまわりにいる誰か(親、学校・習い事のい先生、きょうだい、友人、恋人など)に、自分のいいところもかっこ悪いところも全部さらけ出せて受け入れてもらって、少しずつ自己肯定感が育ちます。自分をさらけ出すことができない人もいます。

その人は自分と自分でよく会話し、何に喜び悲しみ、腹が立つのかをよく理解します。

自分で自分を受け入れて、こころ(安心感)を育てます。

4.自己肯定感の育て方~大人からお子さんにできること~

  【 共感的な関わりから自己肯定感を育んでいく 】

  • 何か失敗してしまった時(テストの点が悪い、試合に負けた、物を壊してしまった など)

 「失敗してしまった」という気持ちに共感します。

  • 失敗しても、受け止めてくれるという安心感が生まれ、能力に関係なく自分を大切に思ってくれる人がいると分かることで、自分の存在を肯定できます。

 安心によって、またチャレンジしてみようと思えます。

【OKな関わり方】

失敗して、今、どんな気持ちなのかを、ありのまま聴く。

 「いい」「悪い」「正しい」「間違っている」というジャッジなしに聴く。  

まずは、経緯や気持ちを確認し、こんな気持ちだったのねと一旦受け止めて、大人の意見を伝える。

       「受け止める」と「受け入れる」を使い分ける。

【NGな関わり方】

「あなたは何をやっても駄目なのね。」
「いつもだらしないからだ。」
「ゲームばかりして夜更かししてるから失敗するのよ・・・それから・・・・。」
「うまくいかないに決まっている。」
 
気持ちを共感せずにダメ出しする。 失敗そのものだけでなく、全体を否定する。
一つの失敗に対して他の説教も長く続く。あなたはできないと決めつける。
 
「弟はできるのに、お兄ちゃんのあなたはできないのね。」:きょうだい、他の誰かといつも比べる。

【大人が気をつけたいこと】

テストで100点だと「いい子」  50点だと「悪い子」
お手伝いしてくれると「いい子」  お手伝いしてくれないとしてくれないと「悪い子」
よく笑うから「可愛い子」  泣いてばかりだから「可愛くない子」「面倒な子」
 
のように、条件をつけた形だけでお子さんをみないことが大切です。
確かに「50点よりも100点」「お手伝いをしてくれないよりはしてくれる」

「泣いてばかりよりはよく笑ってくれる」、そうあってほしいという大人の願いもわかります。
時には「点数」「条件」などで評価し、がんばるモチベーションを高めていくことも必要です。

ただ、                                                        
お子さんが「でも」「だって」「どうせ自分なんて」という言葉が増えてきた。
よく眠れていない。ご飯が食べられない。元気がない。笑顔がない。ずっとイライラしている。
心配して何があったか尋ねても話してくれない。 など

思春期だからなのか、体調が悪いのか、何を考えているのか分からない、どう接していいのか分からなくなったら、ひとまず、大人もタイムアウトして、

自分の安全基地:人:場所に頼って、自分のこころをメンテナンスしてください。


「自己肯定感は長い年月をかけて気がついたら上がっていた」 が自然です。

もし、「自己肯定感が低い自分が嫌だ」と思うことがあっても、コンプレックスを克服しようとがんばれたり、人の気持ちを大事にすることができたり、人と人をつなぐ調整力になったりと、とらえ方次第で気持ちが楽になります。信頼できる誰かに「自分は、自己肯定感が低くて、こんな気持ちがする。」と、ありのままを知ってもらうことも

おすすめです。

一見、「弱さ:よわさ」のように見えるものは、実は「良さ:よさ」の裏返しだったりします。

悲しい思いをした人は、人の悲しみがわかります。やさしい人になれます。

~お子さんがホッとする声かけ例~

「100点だって、50点だって、あなたのことが大切だよ。」

「あなたが笑うと、お父さん・お母さんも嬉しいな。」

「話してくれて、ありがとう。」「お疲れさま。」「大変だったね。」

「ありがとう」「ごめんね」「大丈夫だよ。」

「この出来事は、何かを学ぶために起きたんだね。乗り越えていこう。」

*「悲しい」と言われたら、「それは、悲しいね。」

 「腹が立ったんだ」と言われたら、「腹が立つんだね。」

     うなづきながら聴き、相手のことばを、そのまま返すと、

相手は自分の気持ちをわかってもらえたように思えます。

【生・性教育授業時、生徒さんの感想文に出てくる人気ナンバーワンの言葉】


         

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